妻が知人から３００万画素級の中古デジカメの購入を頼まれた。予算は２万円。新品のデジカメが量販店で２万円代前半〜３万円代前半で売られているから本来ならもう少し頑張って新品をお勧めするところだ。我々、大量の中古カメラを並べて喜んでいる数奇者は、それがいかにあてにならないかを良く知っているので、とても人にはお勧めはできない。笑いが止まらない程の格安お値打ち品をゲットする快楽を得る一方で、それなりにお勉強代を支払っているのだ。相対的には安く遊ばされて頂いているとは思うけど、それも怪しいなあ。そもそも安い中古品にはそれなりの理由があって、「あちこち傷やスレがあってボロボロなんだけど一先ず使える」とか「偉くヤヤコシイ操作を強要させられるんだけど決まるとえらく綺麗な描写」とか我々は納得して散財するのだけれども、一般の方は店頭で並んでいる最新機種と変わらない物を想像してしまうのだ。現に妻の知人も液晶ビュワーの大きいものを希望していたのだけど、そういう流行筋のものは中古では無いしあっても高いのだ。
それで本来は量販店のバーゲンプライス物を探すようにお勧めするのだけれども、ちょっと事情が異なるのが先方は広州に在住する方なのだ。勿論、中国でもデジカメは売っているけど外国製品に高い関税がかけられている事もあって驚くほど高いのだ。拙僧が１．６万円で買った
クールピクス７６００が北京のカメラ屋で４万円以上で売っていた。それに、中国では日本のような大量量販店が無いので値下げ競争もないし、きめ細かな中古カメラの流通など望むべくも無い事を拙僧も知っている。これは拙僧も不思議なのだけれども日本で流通している中国製品は安くて品質も安定しているのに、現地で流通しているものは日本より高かったり品質も怪しいのだ。いかに日本の生産管理技術者や流通企業が苦心しているかがわかる。
説明すると先方は大きい液晶ビュワーの件は諦めた。それで近所のキタムラ数件を物色するとボディ価格１万円で結構見栄えのする物件が選べるのだ。流石、技術立国日本である。目に付いたのは２種類のミューデジタルとエクスリムの３倍ズーム機だ。双方ともスタイリッシュでコンパクトな３００万画素級デジカメなので先方（女性）も異存は無いだろう。それに妻には内緒だったのだがオリンパスとカシオのデジカメをジャンクで手に入れており、その動作チェックもできると期待していたのだ。ところが、翌日に妻と同伴で件のキタムラへ行ったら何れも売れていたのである。しまった、買っときゃ良かった。岡崎市民侮りがたし。残っていた３００万画素級デジカメで一番高年式だったのが本カメラだった。
本カメラは２００万画素級の
ファインピクスＦ４０１の受光素子を３００万画素級にして、スマートメディアを止めてｘＤカードにしたものだ。外観はファンクションボタンが増えただけでファインピクスＦ４０１と殆ど変わらない。名前もファインピクスＦ４１０だからインターネット検索の結果でも気を抜いて斜め読みしたら何時の間にか勘違いしてしまうかもしれない。ファインピクスＦ４０１は取り立てて優れた点は無い物の素性の良いデジカメである。もっぱら妻が使っているが、物撮り以外ではもっとも稼働率が高いデジカメである。最近就役したクールピクス７６００は抜群に鮮明な画像を撮影できるが、いろいろと使い勝手に問題があるので稼働率から言えば主力の地位は当面揺るがないだろう。そんなファインピクスＦ４０１をベースにしているからデジカメとしての能力に問題は無いと思われた。デザインも斬新的なものではないが、フラットな金属製ボディはスマートな部類に入ると思った。ｘＤピクチャーカードは割高だけれども、何れにしても先方は買い足ししないだろうから２５６ＭＢの物を一つ買っておけば満足だろう。問題は拙僧にとって買い物の楽しみを味わえるカメラでは無いという事だ。だって、ファインピクスＦ４０１と殆ど同じなのだから。それでも他に選択肢がある訳でもなく購入に至った。
最高感度がＩＳＯ１６００からＩＳＯ８００に下がってしまった。
ＡＦも迷わずレスポンス良し。
操作感覚は標準的なもので、現在の視点から見れば特筆する程ではないけれど、レスポンスもそれなりに機敏で、操作系もシンプルで分かりやすく、自然に撮影に専念できる。使い込んでいないので分からないけど、ファインピクスＦ４０１がそうであったようにバッテリーのもちも良いのではないかと思う。ファインピクスＦ４０１と変わったのはファンクションボタンを１つ増設した事で、これには画像サイズやＩＳＯ感度などが割り当てられている。もう一つの相違点は最高感度がＩＳＯ１６００からＩＳＯ８００に下がってしまった。どうも高感度撮影時にノイズが走り易いようなので割り切ってしまったのであろう。ファインピクスＦ４０１も暗部でノイジィな傾向にあったが、本カメラの方がその傾向は強いようだ。とはいえ、誇張が無く鮮やかな発色で撮影画像を見たら大抵の方は綺麗だと思うのではないか。
☆ ☆
本カメラは通なカメラ者にとって取り立てて興味のあるカメラではなかったと思うが、ベースとなったカメラの素性が良いので扱い易く、結構売れたのではないかと思う。ただ、オーソドックス過ぎて先方が気に入るかどうか心配だ。
今回、デジカメを中古で購入する事は凄く難しいと感じた出来事が遭った。本カメラを購入する数日前にフジのＡ３１０という３００万画素級デジカメをジャンクで購入したのだけれども、それがちゃんと動くコンディションだったのである。価格は３００円であった。勿論、バッテリーも外部媒体も付属していない状態だったのだけれども、それは手持ちの単三型充電池で動き、拙僧は１６ＭＢだけれどもｘＤピクチャーカードを既に持っていたので追加投資なしで使う事ができた。なんと、３００万画素級デジカメが３００円で買える可能性のある世の中になっていたのだ。
おりしもニコンが銀塩カメラ事業から撤退し、コニカミノルタがカメラ事業を売却するとのニュースが発表される直前の出来事である。物騒な世の中になったものだなあ。
我ながらツマラン写真だ。
（了：２００６／１／２５）
