ニコン クールピクス7600 その1


E7600

☆ジャンク度☆
新品購入
撮影可能


 「そんなに画素があってもプリンターはどうするんだい?」「義務教育の悪い見本だな」
 手の届かない存在であれば、ただ「すっぱい葡萄」と嘲笑していればよいのだけれども、何時の間にか700万画素級のデジカメが2万円を切る世の中になっていたのだ。それも型落ちとは言え「三星」とか「楽凱」なんていう新興メーカーではなく、世界に冠たる「ニコン」の作るデジカメなのだ。ただの廉価カメラではない、1枚のEDレンズと2枚の非球面レンズを搭載しているというから穏やかではない。
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 新しい(中古)デジカメが欲しいと思ったのはキタムラで9800円のディマージュ7を見つけたのがきっかけであった。散々悩んだ末にそれは見送った。でも、翌日の朝の開店を待って再びキタムラに走った。それでも、散々悩んだ末に見送った。なのに、頭の中からディマージュ7が離れないのである。午後、覚悟を決めてキタムラに走った。既にディマージュ7は店頭から消えていた。まるで絵に描いたような茶番劇である。
 それで「(拙僧にしては)ちょっと値の張るデジカメが欲しいい」と言う欲求は、膨らんだまま燻り続けてしまったのだ。一度は別のキタムラで見つけた「キヤノンパワーショットG3」に傾きつつあったのだけれども、「パワーショット」と名のつくデジカメは既に幾つか所有しているし、何より「数々の高度な技術を持つ巨大メーカーキヤノンが余裕を持って左手で作った高性能で利益率の良いカメラ」然としている処が気にくわなかったのである。勿論、それは拙僧の曇った目がそう認識しているだけなのだけれども、中古カメラを買うという行為は気分的なものなのだ。危うくフジヤに電話を架けそうにもなったのだが、なんとか踏みとどまっているうちに幸い欲求は少し落ち着いていった。それで、5000円位の300万画素級デジカメでも買って当面を凌ぐ事にしたのだ。スマートメディアかコンパクトフラッシュのデジカメであれば投資も少なくて済む。しかし、あるきっかけから急激に件の700万画素級デジカメが欲しくなる。
 それはペンタックスオート110で撮影したネガとプリントを取りに行った時の事だ。解っていた事とは言え現像とプリントで2100円を支払うのに強い抵抗感を感じたのだ。そんな高いお支払いをしても、最近ではどこのラボに出しても110判のプリントはやる気の無い不満足な仕上がりなのである。プリント(写真)の世界はデジカメを中心として回っている。恐らく市場では4〜5年前に出た結論がやっと拙僧の脳にも届いてしまったのだ。これでは、110判フィルムを10本買って現像に出すより、ニコンの700万画素級デジカメに取りあえず充分なSDメモリの方がかなり安いではないか。
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 そんな訳で件のデジカメ購入に心は傾いた。どうやら、該当の機種は「クールピクス7600」という既に製造中止となったデジカメらしい。ニコンのデジカメとしてはエントリーモデルとなる「クールピクス7900」の更に下位に位置するデジカメのようだ。経験上、ニコンの廉価カメラは最も低い位置にある方が潔くて買得率が高い位なのだが、このカメラの場合は果たしてどうであろうか?基本的には「クールピクス7900」から撮影上の最低限の機能を残し、その他の機能をごっそり削って、液晶ビュワーを小さくして、電源を専用リチウム電池から単三電池に変更した物らしい。削った機能は手ブレ防止機能や99ポイントを指定できるマルチエリアAF機能である。前者は惜しい気もするが後者は殆ど使わないだろう。こんな小さなカメラのボタンをちまちま押しながらの撮影は考えにくい。単三電池を採用しているのは良い按配で、拙僧のように複数のカメラで電池を使いまわすのには都合がいいのだ。顔認識AFという面妖な機能を搭載しているが、まあ期待しない方が良いだろうな。SDメモリという新しい媒体が増えるのは抵抗があったのだが、比較的廉価なので良しとした。何時までもスマートメディアに操を立てるわけにも行くまい。
 それで近所のキタムラを2件はしごしたのだけれども既に売り切れていた。また買い逃したかなあ。拙僧の行動範囲の中にはもう1件キタムラがあるのだけれど少し遠いのだ。 それでその日は諦めたのだけれども、そこは職安に近いとことに有って、職安に行ったついでに寄ったら、まだ売れ残っている本カメラを見つけたのだ。しかも、更に値引きしてあった。「職安に寄った帰りに妻の稼ぎでデジカメを買う」これは人としてしてはいけない行為である。
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 今のところ家の中で弄っているだけなのだが、こんな小さなボディで700万画素なのだから大した物だ。かつてデカ尻を追い続けた男も地平線を走る銀馬を夢見て散った男も今はいない。300km/hをテーブルに刻んだあの店も消えてしまった。せめてカタログの数値に夢を見ても良いではないか。拙僧はそう思うのだが、如何な物か?

 その2へ続く。

(了:2005/12/21)

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