さて、拙僧が貧乏という事情で事情で８ｍｍシネマの環境がなかった事は８ｍｍシネ映写機復旧作戦でも述べた。その貧乏ぶりと言うのはあれは小学生の半ば頃であろうか、それまで妹と二人で１つの目玉焼きを食べていた我々が、一人１つづつの目玉焼きを食べれるようになって、なんと自分は贅沢ができるようになったと感銘を受けるほどの貧乏具合であった。修学旅行で３本もフィルムを使って叱られた記憶もある。そんな家庭環境であったから劇場映画を見に行く機会も極端に少なかったし、ある程度お金が自由になった頃には８ｍｍシネマなどと言う物はすっかり駆逐され、その存在も知らなかったのである。
　多くの８ｍｍシネマファンにはある種の懐古趣味から８ｍｍシネマを楽しんでいらっしゃる方も多いだろう。しかし、そんな訳だから拙僧には８ｍｍシネマに対して懐古趣味は一切ない。むしろ新しいメディアとして注目しているのだ。或いは、昔叶わなかった映画鑑賞を自分の手で叶えたいと言う欲望もあるのかもしれない。
　また、自己表現や自主映画のために８ｍｍシネマを選択される方も多い。と、言うか本来はその様な接し方の方が自然であろう。８ｍｍシネマはあくまでも映画である。例え、高性能のデジタルビデオで撮影し、鮮やかな色彩を液晶プロジェクターで表現できるとしても、映画を作り、鑑賞する行為の代替えにはならないであろう。
　もっとも、拙僧の８ｍｍシネマの楽しみ方は妻との休日の過ごし方や友人の子供の成長の記録であり、もちろんある程度の構成は考える物の、台本を作ったり撮影後に編集するような事はしない。しかし、こう言った撮影・観賞と言うのは個人映画の本質の一つではないかと拙僧は思う。監督である拙僧が作品を喜んで欲しい観客は妻であり、友人達であるからだ。

　さて、ここで拙僧は白状しなければならない。拙僧が８ｍｍシネマに傾倒する最も大きな要因は、その機材であるカメラや映写機の’７０年代のデザインがカッコよく。また、シネマフィルムで撮影すると言う行為その物が、懐古趣味というよりデカダンで新鮮な響きを感じてある、と言うミーハーな動機なのである。
　なにより８ｍｍシネカメラがカッコいいではないか。拙僧がこれを構える時はサブマシンガンのシューティングのような感覚を感じるし、ベットの上で整備をしていれば気分は「ゴルゴ３１」である。
　結局の所、本ＨＰの主旨はカメラを愛でたりする、カメラに淫したものなのである。

（了：２００５／０７／１７）