牛乳風呂の近くの公園でポーズを決める拙僧。
疲労の色は隠せない。

　７：００起床。普段は夜は睡眠薬を飲んでも中々眠れず、朝は起きてもなかなか頭はハッキリしないのだけど、ツーリング中は健康的な生活サイクルである。ＹＨ内にカロリーメイトの自販機があったので、それとコーヒーで朝食は済ませた。それ程、ぼんやりしていた訳ではないのだけれども、蒲団を畳んだり多い荷物を単車に積んだりしていたら出発は９：００になってしまった。もっとも、この位の時間帯がツーリングの出発には適したものであろう。川湯温泉はきっぱり諦めたものの、昨日と同じルートで単純に引き返すのは何か損した気分だ。そこでツーリングマップルを眺めるとＲ４２上に牛乳風呂に入れるグリーンパーク大内山というのを見つけた。そういえば、紀伊半島には過去に１度ツーリングで訪れた事があり、その時にも気になっていたのだけれどもその時にはパスした事を思い出した。ちょっとした寄り道としては良い具合の位置にある。温泉につかれないのは残念だけど、牛乳風呂というのはそれに勝るユニークな魅力がある。とりあえずの目的地はそれにきまりだ。
　熊野市〜尾鷲市間のＲ４２は結構な峠道である。大型車が目障りだけれどもほどほどのペースで追尾する。行きに立ち寄った道の駅海山でそれなりに時間をつぶしたつもりだったのだけれども、グリーンパーク大内山には１０：００には着いてしまった。案の定、入浴は１１：００からだとの事なので近くの短い林道に進入したり、公園で昼寝をしたりして３０分位して戻ってきたら、まだ時間は早かったのだけれども気を利かして入浴を許してくれた。嬉しい限りである。ちなみに国道からグリーンパーク大内山までは看板で案内があるので迷う事はないだろう。

　短い林道があったので時間をつぶす。



　これが念願の牛乳風呂。

　風呂はちょっとぬるかったけど、湯船を一人で占有できたし満足だ。なんでも６／１からは平日は入浴のみのお客はお断りとの事である。６／１といえば明日である。危ない所であった。
　ところで、今日の宿泊先なのだけれど、実は体がくたびれているのでＹＨに泊まろうと思っていたのだ。ところが、地図上にある伊勢志摩ＹＨに何度も電話しても繋がらないのである。Ｒ４２から県道６８を経由し、Ｒ２６０にて東進する間にも何度も電話したのだけれども一向に繋がらないのである。繁盛期にしか営業しないＹＨなのだろうか？帰宅後、「ホステリングガイド」を見たら６月中旬が休館日となっていた。どうも、これにひっかかってしまったようなんだけれど釈然としないなあ。
　途中、南島（地名）辺りの食堂で昼食をとり、ひたすらＲ２６０を西進したら１３：００過ぎには志摩市の手前まで辿り着いてしまった。ＹＨが期待できない以上、どこかしらにキャンプを張らねばならない。ところで、拙僧はキャンプものだけれども野宿ものではない。なので、可能な限りキャンプはキャンプ場で張りたいのである。かといってＹＨの宿泊料より高いサイト料を払うつもりは無い。ツーリングマップルは良く出来ていて、掲載されているキャンプ場の中で単身単車者に適したキャンプ場には連絡先が記載されている。という事は連絡先が記載されていないキャンプ場は単身単車者には高すぎる価格帯のサイト料を徴収する可能性が高いということだ。とは言え、ツーリングマップルに連絡先の掲載されているキャンプ場はこの界隈では一昨日泊まった志摩観光農園だけだ。あそこの設備やロケーションに不満は無いが、なにしろ英慮湾の反対側、つまり現在位置から最も遠いキャンプ場なのである。なのでとりあえず志摩市西方にある南張海浜公園（キャンプ場）へ向った。もしかしたら、ツーリングマップルの調査もれという事もありうるし、こういう行政系のキャンプ場は閑散期には管理人が居なくてロハで利用できたりする可能性もあるのだ。くたびれた体を田曽岬へ向ける。

　ツーリングマップルに載っているミルクランドでソフトクリームを食す。



　トイレに寄った公園で見知らぬおっさんの像が。



　南張海浜公園にて腹いせに堤防に登る。

　田曽浦という所は不思議な所だ。荒れた路面で狭いブラインドのくねくね道を進むと急に２車線の広い道が広がって捻り鉢巻のおっさんがノーヘルでスクーターに乗っているのである。おっさんだけではなくておばさんもパンチパーマをなびかせてノーヘルで乗っていた。多分、この辺は交番が無くて一種の治外法権になっているのであろう。拙僧もノーヘルで走りたいところだけど止まるのが面倒臭かったのでしなかった。
　さて、南張海浜公園である。拙僧は２つの意味で裏切られたのである。一つは管理人のおっさんが居た。もう一つはこのシャワーも炊飯場もないプリミティブキャンプ場が一張り３０００円も徴収するというのである。拙僧は呆れてしまった。管理人のおっさんが帰るのを待って勝手に張ろうかとも一瞬思ったのだけれども、シャワーくらい浴びたいし、遮蔽物が無くて国道から丸見えなのが気に入らなくてさっさと後にした。こうなったら英慮湾をぐるりと一周して志摩観光農園に向うしかあるまい。念の為に営業しているのかを電話で確認して覚悟して単車を走らせた。途中、Ｒ２６０から県道１７にアクセスする所で迷ったので岬の先端まで出てしまった。本当に英慮湾を一周することになってしまった。

　浜の見えるロケーションでテントを張る。
　電灯が近すぎるので夜中に移動する羽目に。



　テントの中。実際はもっとごちゃごちゃしている。

　志摩観光農園に着くと珍しく先客が居た。ゴールデンレトリバーを連れた老夫婦という絵に描いたようなリタイヤライフを楽しんでおられるようだった。貧乏人は余裕が無いことを見せ付ける必要があるのでさっさとテントを張って明るいうちにシャワーを浴びる。今度はちゃんとシャワーの前に米を研いでおいた。鰯缶とホテイの塩味をコッヘルに乗せて米を炊き。インスタント味噌汁と食前酒はコンビニで買ったハーフボトルのメルロー、格付けはヴァン・ド・ペイだ。世の中はｉＰＯＤだったりＭＰ３だったりするらしいけど、拙僧はオールドタイプだからＭＤプレイヤーに１００円ショップで買ったスピーカーを付けて沢田研二を流して老夫婦をけん制する。
　殺伐とした旅にはジュリーと世良正則が潤いとなるのだ。

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