モバイク：ツーリングレポート　No1

　ホームセンター等で１万円で売っている様な見てくれだけのトレールバイク。それが拙僧の通勤快速車である。拙僧とて本気でダート走行を目指す物ではなかった。だが、起伏の多い舗装農道が通勤路である拙僧にとって、見てくれだけだと思っていた前後フルサスと前３後７の２１段変速が予想外に効果を発揮、快適な通勤を提供してくれたのである（まあ、通勤自体が快適かどうかは別として・・・）。とは言え、現在は休職中であり通勤快速号の出番は極端に少ない。１万円のトレール（風）バイクがどれ程ダート走行が可能なのか？切っ掛けはほんの些細な気まぐれから、デミオ＝バンに１万円トレールを積み込んだ事から始まった。

デミオ＝バンに１万円トレールを載せたところ。

運転席から見たところ。面倒なのでプロンプトンも積みっぱなしだ。

　界隈のダート路を知らない訳では無いが、初めて自転車でダートを走る拙僧には、ＣＲＭでかって知ったる道はハードすぎる。公園と有れば未舗装のサイクリングコースでもあるかと思って、ハンドルを岡崎中央総合公園へ向けた。ところが件の公園はテニスコートや屋内遊技場をコンビナートの様に集積した大型総合施設で、ささやかなサイクリングコース等がある雰囲気ではなかった。仕方ないので、当ても無く山間部方面へと散策しながら進む。まあ、この辺りはＣＲＭでも未開拓な空域であり、雰囲気の良い林道でもあれば見つけもんだ。

で、この様な旧道らしき側道を発見。

この奥にダート路が有りそうな雰囲気。

　早速、１万円トレールを出動させる。雰囲気はあぜ道から更に林間の農地に進む道のようだ。この界隈には信じられないほど山の中に、突然水田が現れる事が珍しくないので良くあるパターンだ。常備携帯の「かりん蜂蜜入りしょうが湯」を軽く飲んで緊張を解き、早速トレッキングの開始である。

入り口は整備された稼動状態にある林道らしい。

早速分岐点到着。

　所がである。一寸傾斜が付いて路面が砂利に変化したとたん、どうにもこうにも上れなくなってしまったのだ。ペダルを踏もうと両足を地面から離したとたん、へなへなと倒れてしまう。いったい何なのだ、自転車トレールとはかくも恐ろしい物であったか。以後、上り勾配の一切は押し上げ、ペダルを踏む事は一度も無かった。
　分岐点は前進が緩い上り勾配、右側の道は少し進むと傾斜のキツイ下り勾配となっていたので前進を決定した。

だんだん、落ち葉の堆積が激しくなってきた。

しかも、落ち葉の中には滑りそうな岩が・・・。

このあたりは勾配が無かったので一寸だけこぎした。

暫く押し上げると勾配の無い平坦な道が１０数メートルほど続き、その後は下り道となっていた。どうやらこの辺がこのダート路の頂点らしい。下り始めてから初めて気付いたのだが、自転車にはエンジンブレーキが無い。一体、どうやってコントローラブルかつ、穏やかな制動を行えば良いのだ！焦る拙僧、だが、幸いにも曲がりくねった下りの勾配は僅かな道のりで終わりを告げ、明るい十字路にほおり出された。

突如現れた十字路。

　前進は再び薄暗い林間、左右は整備された砂利林道で左は緩い下り坂で恐らく麓に下りる道と思われた。右はかなりキツイ下り坂だったのだが、もしかしたら先ほどの分岐点と合流するのではと言う期待から右を選択した。
　今度の下り坂は急勾配の直線ではっきり言ってかなり怖い。拙僧はへたの横好きでオフロードモータードバイクに乗っているため、ギャップに対する体重移動による姿勢制御は自動的に体が反応する。しかし、エンジンブレーキによるスピードの抑制ができない無い上に、プア－なブレーキとか細いタイヤによる制動は全く経験である。どう対応して良いものかさっぱり判らない。丁度、初心者のスキーヤーがイキナリ中級コースに突き落とされた感じだ。何とか制動を試みながら結構なスピードで下っていくと一寸した広場に突き当たり、ようやく止まる事が出来た。なぜかおばちゃんが農作業をしていて、突然顔を引きつらせた茶髪３０男が現れたのでびっくりしたようだ。ちなみに、傍らにはセニアカーが置いてあったけど、セニアカーにも４ＷＤとか強化バッテリー仕様とかあるのであろうか。あの急勾配の砂利道を上るのかと思うと結構凄いと思うんだけど。

急勾配の砂利道を下る。

　ばつが悪いのでしょうが湯で緊張を解いて、そそくさと引き返す事にした。十字路から来た道に戻りダート路の頂点に達した所で事件発生。勾配が緩やかな頂点で調子に乗って自転車をこいだらチェーンが外れてしまったのだ。しかも、チェーンはフロントスプロケットとフレームの間に挟まって押しても引いても動かない。ペダルクランクも固着してしまった。悩む事数分、いい加減汗が冷えてきたのでこのまま下る事にした。幸いにもここは頂点、後は下るのみである。ただでさえコントロールに不安があるのにペダルが固定されてしまっては恐怖も倍増だが、そここに大型動物の足跡らしい窪みもあるし、さっさと引き上げるに限るのだ。
　その後、下りながら強引にペダルを踏み込んだら一時期治ったんだけど、舗装路に出た辺りで再び外れてしまいました。

この道を戻るのかと思うと一抹の不安が・・・。

うんともすんとも動かなくなったペダル。

一瞬だけ治ったんだけど、再び外れてしまいました。

　兎に角、デミオ＝バンの所まで戻って状況を確認する。とは言うものの、拙僧に治せる技量がある訳でもなく、よく見ればチェーンその物も歪んでいる為、素直に自転車屋に持っていくことにしました。
　新品チェーンに交換して３０００円弱でした。

拙僧が治せる訳でもなし。

へとへとに疲れた拙僧。

結論：
　見てくれだけの安物トレール車でトレッキングはしない事。見てくれだけは人間も同様で候・・・。

（了　2004/12/17)