コラム：レトロパン３２０でポートレイト

　レトロパンというフィルムには興味があって、何かのついでに１本買ったのだ。しかし、なんだか処理液の選択や現像がナーバスなようで使うのが後回しになって、気づけば結構期限が切れてしまったのだ。
　そういうコンディションのフィルムでいきなりポートレイト撮影をするというのは無謀な気がするのだが、その辺が拙僧のタナトスなところだ。使うつもりになったのは屋内撮影が決まっていたのでＩＳＯ感度が稼げるフィルムが必要になった。ちなみに当日はもう１本ＴＭＡＸ４００を使っている。ＩＳＯ３２０に設定したスポットメーターで撮影したのだが、なんとなく不安だったのでオーバー気味に撮っていたつもりなのだが、キタムラの純正現像から帰ってきたらアンダーだった。冬場だったのと特性のよく分からないフィルムなのでキタムラに出したのだ。アンダーになった原因が期限が切れたフィルムだからなのかレトロパンとキタムラのＳＰＤの相性が悪いのか、そもそもそういうフィルムなのかはよくわからない。可能性が最も高いのは拙僧が露出をしくった線だな。
　それで結果なのだが粒子感たっぷりで硬調の昭和感あふれる仕上がりに。あっしは嫌ではないがモデルさんはどう思うかしら？ショップには「レトロパン　３２０　Ｓｏｆｔ」なんていう文言が躍っているのだが、ちょっとソフトとは言い難いなあ。ちなみにレンズはヤシノン５ｃｍＦ２でボディはペンタックスＳＰ。撮影中に４カット目でお亡くなりになったミノルタＸ－７００に比べてペンタックスＳＰは強い。クリティカルなポートレイト撮影で自分が生まれる１０年以上も前に発売したペンタックスＳＰに主力を任せるのは如何なものかと思うのだが、ペンタックスＳＰは我が師団では素晴らしく信頼性が高いカメラの一つなのだ。