レンズはＡＤＯＸＡＲ７５ｍｍＦ６．３である。素性は分からないのだが、Ｆ６．３という暗さから３枚玉のトリプレット系だろうな。無論、フォーカシングは前玉回転式である。本カメラは１９５０年代のカメラであるが、当時としても廉価なクラスだっただろう。しかし、写り具合はなかなか見事である。目測カメラなのでＦ８以上に絞っている。フォーカスも３ｍか５ｍのはずだが、そこそこ写っているのがレンズの寛容力を感じてイイものである。ちょっとライカ判シンプルカメラのＡＤＯＸ ポロと似た傾向がある気がするな。
寛容力と言えば、なかなかよい諧調を描くのではないだろうか。結像もデリケートで、今どきのデジ画像の画一的なシャープネスや高コントラスト（嫌いな表現だ）とは大違い。
露出が不安定なのは撮影者のスキルの問題なので御了承打頂きたい。カラーだと発色が眠いかもしれないな。以前、ニコンＳＳの方に聞いたことがあるのだが、モノクロ時代のレンズは諧調を重視し、カラー時代のレンズは発色を重視しているそうだ。なので、古いレンズにはやはりモノクロなのである。