これは謎のカメラである。 　ドイツ製であるのは間違いないのだが、いかにも安っぽいスチール製で東ドイツ製かともおもったが、それなりに威厳を保っている。国産ではオリンパスＥＥシリーズを思い出していただくと近い。コンパクトで丸っこく愛嬌のあるカメラだ。 　軍幹部に受光部があり、絞り値の他、お日様マークがあることから、もしかしたら絞り優先ＡＥの他にプログラムＡＥも搭載しているのかもしれない。目測式でレンズシャッター。ボディ脇の飾りレバーをひねるとフィルム室後部が分離して外れる。アパチュアには折りたたみ式のフィルム厚板が備えられており、ローライ３５を思い出させる。シューに隠れる巻き戻しレバーが特徴的だ。コンパクトであろうとするアイデアがところどころ見え隠れして好感が持てる。シャッターはフィルムを装填しないとチャージできない一時期のヨーロッパ製カメラと同一の特徴を持つ。 　コンテンツを散々探したのだけれども同一のものは見られず、同じブランドの似たようなカメラのコンテンツを海外で見つけた。それによれば前玉回転式の３枚玉を搭載しているようである。シャッターも可変する様なことが書いてあった気がするが忘れてしまった。空シャッターを切る限りでは単速の様ではある。 　拙僧が手に入れたいきさつは、ネットオークションでブリリアントと一緒のジャンク物として落札したものだ。物件はシャッターが開かず、露出計もお亡くなりになっている様に見えた他は外観は綺麗であった。 　シャッターが動かないのは、大抵この種のカメラは潤滑油を注せば動くと踏んでいた。果たして簡単な構造のカメラなので分解は容易に行え、シャッターは開くようになった。ところがレンズユニットを完全に分離してしまったため、レンズシャッター側のリリースレバーと本体側のレリーズボタンとのリンケージがうまくいかなくなってしまったのだ。真に情けない次第なのである。更にどこをいじったせいかフォーカスも合わなくなってしまい、本当のジャンク物にしてしまったのだ。 　もっとも、プリミティブなカメラなので露出計以外は根気さえあれば何とか回復できそうなものだが、その根気がでないので困ったものである。 　ちかじか処分してしまおうかとも思っているのだけれども、どなたかこのカメラに詳しい方はいらっしゃいませんか？
　ちなみに本カメラは既に拙僧の手に負えなくなってしまったので某猫殿に送りつけてしまった。見るに見かねたカメラを押し付ける、これほど迷惑は無いであろう。
（了：２００９／１／１２）

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